2016年10月、小松菜奈×菅田将暉W主演で実写映画化!!
10代の自意識を描いたジョージ朝倉の代表作!!
【あらすじ】
また炎の夢をみた。コウちゃんは戻れる。わたしは、そう信じる。――その胸のうちを知るために、コウを捜しに東京から戻った夏芽(なつめ)を迎えたのは、コウの部屋(そこ)にいるはずのないカナだった。余裕の笑みに、動揺を隠すことができない夏芽。そのころ、コウは……。求め合っているのに、重ならない気持ち。夏芽とコウ、二人の思いの向かう先はどこなのか……!?
続きは感想ネタバレ注意
溺れるナイフ16巻。もう映画1本見た並の疲労感というか…。振り回されすぎて心が動きすぎて読んでてキツイでも目が離せない的なww
【溺れるナイフ16巻】
15巻ラストで、自分のホテルにカナを呼んだコウ。
自分のことを相変わらず神さんと言ってくるカナに『アホけ 俺んこつ崇めちょるのもうだれもおらん お前だけぞ』と、目隠ししたりお菓子ぶちまけたり散々な仕打ちをした挙句、アブナイ友達に呼ばれコウは出て行ってしまう。
一方で早朝浮雲町についた夏芽は月ノ明リ神社に向かうが、そこにコウはいない。そしてホテルに向かった夏芽の前に現れたのは…カナ。
夏芽『なんでっ…カナちゃんここにいんの……!?』
このカナの嬉しそうな顔にイラっとモヤっとする。コウは別の場所でやんちゃな友達たちと居て女の子とヤッてたっぽい。夏芽の留守電を聞き、帰る時間に間に合わない、と諦めようとするが、慌てて着替え走り出す…!!!
そして夏芽が乗っているはずの電車を必死で追いかけ…。(ここ、ワタクシ的ナイフの大大大好きなシーンww)
(引用元 溺れるナイフ16巻)
間に合わず掴み損ねてしまった寂しそうなコウの背中。でも実は夏芽は待ってました。コウちゃんの本を投げ、振り向いたコウを見て『全然大丈夫じゃないじゃん』と泣き出す夏芽。そんな夏芽に駆け寄りぎゅっと抱きしめるコウ。
でもコウは夏芽を東京に戻すため引きずって電車に乗せようとします。(仕事に行かせるため)『もう絶対離れない』と、帰らない、とゴネる夏芽にコウは…。
『……王様じゃと思い込めた頃に離れなきゃ戻れるんけ?』
『ほんますまんの…俺はよ本物のお前の眼に映るのが……しんどい』
そして『もう会いたくない』と夏芽を電車に乗せる…。涙が溢れ出す夏芽。
あの頃に戻れないと一番わかってて
一番戻りたいと願っていたのは
それ以来夏芽はコウにかける言葉が見つからず連絡を取れない。地元の子からは護寺高にも行っておらずヤンチャな友達と相変わらずつるんで悪さしたり女の子と遊んだり…。
昔の神さんみたいなコウを取り戻したいと思う夏芽だったが、コウの全てを受け入れるカナを見て自分の気持ちはエゴなのかもしれない、と感じる。それでも諦めきれない夏芽は…
コウが唯一心を開く?コウの叔父の神主さん(個人的に好きすぎるww)に更生を頼む。再びコウの前に夏芽は現れ…
夏芽『エヘ♡きちゃった』
思いっきりビンタwww逃げるコウを追いかけ…
『コウちゃん戻りたいんでしょ!?めっちゃ戻りたいんでしょお…!?』
『戻れよっ…戻れるよだって あんた!ここの王様じゃん…!!!ー本物はっコウちゃんのほうじゃん コウちゃんは私の』
神さん
そして火つけ祭りに出て(取り戻して)欲しい、と言う夏芽に“そのあとはもう会わない”と言う交換条件で火つけ祭りに出る約束をしてくれたコウ。
そして火つけ祭り前日、コウのいる神社に会いに行く夏芽。そこには何か憑き物がとれたようなコウがいて…。
(引用元 溺れるナイフ16巻)
まだコウとの関係を終わらせたくない、と思う夏芽と反しコウは夏芽に甘えるように寄り添い…
『俺がようそれはもうめっさ格好よくてもよう 頑張ってふっきれよ 今までで一番いいとこ見せちゃろ思うてよぉ お前が心底くやしがるくらいのよぉ…ほんでその俺のことだけ神さんみたいな俺のことだけ覚えとってくれぇや』
(引用元 溺れるナイフ16巻)
『神さんみたいな俺のことだけ覚えとってくれぇや』
そして続けてコウは夏芽に、『俺もお前も無駄なくなるべきして今の状態にある』と、夏芽は這い上がっていくべきで自分は身も心もここにとどまるべきだと話す。
そしてそんな一瞬でも『神さん』に戻れるチャンスをくれた夏芽に感謝してるという…。(もうココ涙が溢れてきますから!!!)
それを聞き、もう自分の出る幕はないんだ、と感じる夏芽。そしてコウの最後の晴れ姿を見ようと、火つけ祭り前に月ノ明リ神社に祈願しにいく夏芽の前に現れたのが……
顔面蒼白(夏芽も読者も。)まさかの、昔夏芽を誘拐した、、、、蓮目、、、!?!?
男に殴られ、隙を見て必死で逃げるが追いかけられ捕まりそうになった夏芽は、デジャブの様にまた山の上から落ちてしまい気を失う。(そこからは意識を失った状態で全てが見えている夏芽)
そこにカナから聞き、間一髪現れたコウ。
蓮目をメチャクチャにし、気を失った様な蓮目を見て、自分たちを闇に落とした、今までずっと縛られていた存在の無力さに『こんなもんけっ こんなもんに』と愕然とする…。
それでも男の意識が戻り夏芽に手を出した様な、コウを煽る発言をした男にキレたコウは歯止めが効かなくなり蓮目の首を絞める…。
そして山の中で落ちた状態のまま、意識を取り戻した夏芽…。
夏芽『コウ ちゃん… うわああああああああ』
すごい展開になってしまった。ここまでが溺れるナイフ16巻でした。
コウちゃんの夏芽への劣等感がむき出しに…それでも諦めずコウを救おうとする夏芽に胸が張り裂けそう…。それが自分たちが違う道を歩むことになっても。大好きな巻です。
そしてまさかのラストの展開。蓮目が刑務所から出てきたという情報は入ってましたがまさかのまさかのこの展開だった。事件を忘れ自分たちであがいて光を取り戻すのではなく、直接対決で乗り越えていくという持って行き方なんですね。でもそこでそれ(自分たちを闇に落とした張本人)はあんなにもあっけないものだったと感じるんですが。
ちなみにこの展開は、ジョージ先生は最初から決めていたそうです!
もちろん蓮目の起こした事件によって人生が変わってしまった夏芽とコウでしたが、この巻でも描かれていたように、昔自分たちがもっていた全能感のような自意識は、いずれあの事件がなくても失うものだったのかもしれない…と。
それがジョージ先生の描きたかった溺れるナイフ(自意識)なのかな〜と。次の溺れるナイフ17巻で最終巻です。
特別な夏芽とコウには全能感を持ち続け、輝き続けて欲しい。まだ闇からは抜けてない2人が救われて欲しいと願い、次の巻に進みます。(進んでました、かな。)
《引用元 作品DATA》
出版社:講談社
著者:ジョージ朝倉
掲載誌:別冊フレンド
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