“ほろ苦い”そんな言葉がぴったりの心に響く一冊
あらすじ
7年つき合った男にフラれたOL・コマちゃん。傷心の勢いで絵本作家のチャコのところに転がり込んだものの、彼女は入れ違いに家出。チャコの家には「親類です」と名乗る男、池ノ上がいて――。池ノ上に恋する青年を描いたスピンオフや、描き下ろし後日談の他、幻の短編「あさにかえる」など心惑わす珠玉の5編を収録。
続きは感想 ネタバレ注意
三連続で河内遥先生の作品を紹介してきました!!
このひとつ前の『ケーキを買いに』と同じ作者なのか!?と思うほど、ヘンタイっぷりが封印されたかけ離れた作品です。でも相変わらず登場人物が好きすぎる。
この作品は一言で言うとほろ苦くて切ない。ほんと、おすすめの一冊。
へび苺の缶詰
この次の『空の箱庭』の続きのストーリーなんですね。絵が変わりすぎてて、あとがき読むまで気づかなかった笑。物語は、ある雨ザーザーの夜、絵本作家のママが出張中、パパ(池ノ上くん)と息子(富士朗)の家に池ノ上くんの後輩・浜田山くんが現れる。(浜田山なんて名前始めて聞いたぞ笑。)
読み進めて行くうちになんとなく2人の関係性や、色んな事が分かってくる。それらしい会話や絵はたくさんあるのに、最後の最後まで気づかなかったニブすぎるワタシ笑。やられた笑。
『先輩 棺の中のガリやせの俺見てるのに昔の姿で認識してくれてありがとう』
浜田山くんは1週間前亡くなっていて、ずっと好きだった池ノ上くんに会いに来たのだ。
だから最初の“そのうち来るよな予感はしてた”なのだ。
うん。読んだあと、胸がキューてなります。
空の箱庭
“へび苺の缶詰”の池内くんが出て来るお話。出て来るってこの話の続きがへび苺の缶詰なんだけど。
7年付き合った男にフラレて、絵本作家の友人のチャコの家に転がり込んだコマちゃん。
コマちゃんに家の鍵を渡したままチャコは電車でどこかへ消え、コマちゃんが一生懸命行きついたチャコの家には“親類”と名乗る池ノ上くんがいた。そのままコマちゃんと池ノ上くんの生活が始まる。
コマちゃん、池ノ上くん、チャコのそれぞれの視点から描かれていて、この作品もまた読み進めていくうちにそれぞれの(てかチャコと池ノ上くんの)関係性が明らかになる。んもう、切なすぎる、ずるい。
最初から分かるのは、池ノ上くんがチャコを好きっぽいこと。チャコは妻子持ちの男の子供を妊娠している事。コマちゃんは元カレをひきずりまくってる事。
3人それぞれが自分勝手で、でもだからこそ関係が成り立つ、こんな関係から始まる事もあるのかと思った。
コマちゃんはなーんとなく池ノ上くんに癒されながらこのままだときっと気になる存在になったんだろうな〜と思う。実は池ノ上くんはチャコの旦那。好きな人(妻子持ち)の子供を産みたいチャコと、子供が大好きだけど子供ができない池ノ上くんとの計略結婚。
フニン男とフリン女
キミのおなかにしがみつくしかない ぼくと
かなわない恋にうつつを抜かすチャコ
どーしょーもなく身勝手でしょぼいぼくらのせめてもの打開策
『両親』はじめよう 本腰入れてさ
あやういキミの執着も
まるごと愛してる
こんな形から始まってホンモノの家族、愛に変わると信じたい。この時のチャコのおなかにいるのが“へび苺”で出て来る“富士朗”なんだなぁ…。かきおろしの“僕ノ庭”を読む限りは池ノ上家は愛で溢れてた。ヨカッタ。
読んだ後、胸がキューキューーーなります笑。
この他にも、ウタカタンス’96、あさにかえるなどなど。
絵は半分くらい昔のまるっこい絵だけど、お話、空気感、世界観で大満足でございます。読んでよかった。
話は変わるけど、関根君の恋の5巻はいつ出るんだ???!1年半以上たちますが…。
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